長寿を願う重陽の節句や敬老の日など、9月は年齢を重ねた大人世代の行事が続きます。
シニア、シルバー、プラチナ、あるいはグランドエイジなど、さまざまな年代表現の言葉がある現代、年齢に関係なく仕事や趣味やスポーツ、地域活動などに打ち込んで輝く人が増えています。
そんな世代の元気を象徴するのが「還暦野球」。
400以上のチームが加盟する全国組織で、毎年大会が開催されています。
今回は、その全国大会をめざして頑張る地元の「岐阜県還暦軟式野球連盟 飛騨高山」の皆さんを取材し、年を重ねても輝き続ける元気の秘訣に迫りました。



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オールオーバー60の地元軟式野球チーム


▲監督 阪上武巳さん(75歳)


  8月、甲子園で高校球児たちの熱戦が繰り広げられているのと同じ頃、高山市の清見グラウンドでは岐阜県還暦軟式野球連盟のリーグ戦が行われていました。
ユニフォームに身を包み、全力でプレーする姿はハツラツとして青年のよう。
還暦野球という名称を聞かなければ、全員が60歳以上だとは、夢にも思わないでしょう。「飛騨高山」の今年度の登録メンバーは26人で、最高齢はなんと88歳。
この日は、66歳から81歳までのメンバー18人がベンチ入りして試合に臨みました。
 プレイボールは11時。
夏の日差しが照りつける中、「飛騨高山」は得点を重ね、三塁打やホームランも飛び出して、おおむね優勢ムードの試合展開。
攻めている時も守っている時も、「OK、OK、OK」「いけいけ〜」、「しまっていくぞー」「走れ、走れ〜」などと、それぞれが声を掛け合い、全員が一球一打に集中していました。
そして、7対3で見事に勝利。
その瞬間、「よし!」という声とともに、メンバーの日焼けした顔には満面の笑みが広がり、一気に緊張が解けました。
互いの頑張りを称えながら「いやぁ、よかったよかった」「道の駅に集合して昼飯だ」と、意気揚々と球場を引き上げました。

全国に広がる、元気の輪!


▲キャプテン 西永祥一さん(67歳)



▲チーム代表 踏込清男さん(73歳)


 還暦野球は、文字通り60歳にならないと参加できない野球で、軟式ボールを用い、7イニング制。
塁間距離も若干短めに設定されています。
現在、飛騨高山エリアには5チーム、岐阜県全域には59チームあります。
ひょっとすると、もっとあるかもしれませんが、この数は、岐阜県還暦軟式野球連盟(以下、岐還連)に登録しているチーム数。
ちなみに都道府県連盟は全日本還暦軟式野球連盟のもとで全国7ブロックに分かれています。要は、日本高等学校野球連盟などと同じように、還暦野球も全国組織で、全日本選手権や全日本選抜の大会を開催。
そこに出場するためには、当然、県や地域ブロックの大会を制していかなければなりません。
 では、「飛騨高山」の実力はどれくらいなのでしょうか?試合後、阪上 武巳監督(75歳)、踏込清男チーム代表(73歳)、西永 祥一キャプテン(67歳)にお話を聞きました。
「飛騨高山は9年間Aランクを維持しています。
成績は県内で7番目くらいでしょう」「3年前には県のAリーグで2連覇しました」「全国選抜大会で3位になった年もあるんですよ」と、弾んだ声で答えが返ってきました。
岐還連の加盟チームは、成績によってA〜Dの4ランクに分類され、各ランクの上下3チームが毎年入れ替え対象になるそうです。ちなみに、岐阜県は全国の中でもチーム数の多い、いわば還暦野球の先進県。
その59チーム中、上位15チームのAランクをキープしている飛騨高山は、なかなかの強豪チーム。
週に2日、2時間の練習を行い、試合となれば、県内はもちろん、全国各地にも出かけていきます。
還暦を過ぎて、少年時代の夢が叶った

 「チーム結成は平成9年、当時のことはよく知りませんが、先輩方がチームを盛り立ててこられて、私自身は、60歳の誕生日を迎える年度に、資格を得て加入しました。
それから8年間ずっと続けていますが、何よりうれしかったのは、全国大会に4回出場でき、一度は選抜で3位という成績を上げられたことです。
小さい頃から野球をやっていて甲子園出場を夢見ていましたが、10代の頃に叶わなかった夢が、還暦を過ぎて現実になったのです」。
西永キャプテンは、「この年で夢が叶うなんて、思いもしなかった」と感慨を口にします。
 チームのメンバーは、ほぼ全員が野球経験者。
「草野球でも何でもいいんですが、とにかく、若い頃、どこかで野球をやっていた人たちが集まってチームを作っています。
私たちにとって野球は、人生の中で、昔から好きでやってきたもの。
だから、同じ気持ちの仲間と一緒に試合に出て、夢中になると若い頃の気持ちに戻るんです」と笑うのは、阪上監督。
踏込チーム代表は、「還暦野球は60歳以上ですが、その上には、70歳以上の古希野球、さらに77歳以上の喜寿野球もあります。
阪上さんも私も古希野球チームのメンバーでもあるので、両方試合があって、近年ますます忙しい(笑)。
還暦野球は始まりで、その後、まだまだ楽しめますから、野球に興味のある人は、ぜひ仲間に加わってください」と呼びかけます。


人生は、まだまだこれから、仲間と一緒に楽しもう!

 試合後の疲れや空腹など、みじんも感じさせずに快活に語る皆さんは、元気そのもの。
日焼けした笑顔は、夏の太陽を浴びて輝いていました。
「今年の目標は挑戦! 再び県内大会制覇を目指すぞ」「絶対に全国大会出場権を獲得しよう」「全国大会に行けたら、遠征旅行もできて一石二鳥だからね」などと、楽しそうに今後の目標を語りました。
「でも、こうやって好きな野球ができるのも、理解ある家族のお陰だね」、「還暦野球をやって本当によかった。
仕事以外に、生きがいが持てた気がする」という話も。
最後は「還暦野球で一番大切なことは、楽しむこと。
みんなが元気で、仲間と気持ちよく笑顔で野球ができることが、私たちの何よりの幸せだ」という踏込代表の言葉に、全員が大きくうなずきました。

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